Lot No. BR80659 / Type A-2 “A.C. No.W535 ac 29191 BUZZ RICKSON MFG.CORP.”

TEXT: バズリクソンズ企画総括 亀屋康弘(YASUHIRO KAMEYA)

このA-2はニューヨークに所在するブロンコ社が1942年に製造したモデル。ブロンコ社は2度に渡ってA-2を契約生産しており、このモデルは初回ロットの納入分。陸軍航空隊におけるA-2の規定色はアザラシ色に例えた暗褐色のシールブラウンと、あずき色に例えた赤褐色のラセットブラウンの2色であるが、このモデルはラセットブラウンと呼ぶのに相応しい典型的な『あずき色』で仕上げられている。A-2は1930年に型紙が誕生し、1944年に支給が終わるまで18社の製造メーカーが計39度ものロットで対応したが、ブロンコ社の初回ロットはA-2全ロットの中で最多の59,000着もの生産数を誇った。この破格の着数をこなした迫力とスピード感に溢れたステッチワークが随所に見られ、左身頃のファスナー取り付け上部のカーブや角張ったポケットがその痕跡を残している。ハンガーループもジャケットを回さずに済む方法で取り付けられており、ここにも速度を意識した仕様が見える。またエポレットはサイズに関わらず同じものを使用しているため、サイズによってはクロスステッチが襟と肩口の端から若干離れた位置となる。ブロンコ社がA-2において最大の生産着数のロットを成し遂げた事実は、生産キャパシティーの優れた環境が整っていたことを裏付けるものであり、その成果と実績にはただ感服するばかりである。