No. BR14700 / TOYO ENTERPRISE 55th ANNIVERSARY MODEL “TYPE MA-1 & TYPE B-15C (MOD.) REVERSIBLE”

TEXT: バズリクソンズ企画総括 亀屋康弘(YASUHIRO KAMEYA)

 

 

パイロットの生命を守るための軍用装備品として誕生し、航空機の発展と共に改良を重ね、進化を遂げてきたフライトジャケット。その中でも究極のフライトジャケットとして今なお君臨し続けているのが「MA-1」である。

 

インターミディエイトゾーンと呼ばれる-10℃から10℃までの気温域用ジャケットのルーツは1939年に採用されたB-6というシープスキン製ジャケットにあり、コットン製のB-10やB-15、B-15A、ナイロン製のB-15B、B-15C、B-15Dを経て1950年代に登場するMA-1へと至る。通称「1stモデル」と呼ばれる初期型(スペックナンバーMIL-J-8279)から始まり、MA-1はその後もさらに進化を続け、1961年の通称「Cタイプ」(MIL-J-8279C)からはオレンジライニングのリバーシブル仕様に。これは緊急時にコックピットから脱出したパイロットの視認性を高めるためのディテールで、一般的に「MA-1」と聞いて想起されるのはこのリバーシブルのモデルであろう。

 

 

The MA-1 is widely considered as the ultimate flight jacket. Together with the development of military aircrafts, this jacket has continued to evolve over the years through an accumulation of improvements. The MA-1 first appeared during the 1950s as a jacket with excellent functionality, durability and mobility that had never been seen before. Since then, the MA-1 has continued to evolve, and from the 1961 military specification “MIL-J-8279” (Type C), it was redesigned to a reversible jacket with an orange lining to make it suitable for emergency situations.

 

 

REVERSIBLE

 

 

1965年に創業した東洋エンタープライズ社の55周年を記念し、バズリクソンズからリリースされるアニバーサリーモデルには、その画期的な機能を取り入れた。表側はセージグリーンの2/2ヘビーナイロンツイル生地を使用したMA-1、裏返すとエアフォースブルーの3/1ヘビーナイロンツイル生地を使用したB-15C(MOD.)として着用できるリバーシブル仕様。セージグリーン側では敢えてエアフォースブルーのリブやファスナー、ステッチの色を生かし、バズリクソンズのブランドカラーであるブルーとセージグリーンのコントラストが美しい一着へと仕上げた。

 

通常、オレンジライニングのMA-1を復刻する際は、インターライニングのウールパイルを固定させるために裏地とウールパイルを2本針で縫い合わせ、最後に表地と接合させているが、このジャケットは「両面が表」であるが故にウールパイルを固定させるための2本針ステッチを入れることができない。また両面ともにオキシジェンタブやICSコード用ループ、身頃のスラッシュポケットや袖のシガレットポケットが再現されており、フライトジャケット2着分の工程を経てようやく完成に至るのである。この難易度の高い仕様に挑み、我々が長年培ってきた技術を惜しげもなく投入した本作は、東洋エンタープライズの創業55周年を飾るメモリアルジャケットであり、バズリクソンズの誇りを表すトレードマークを特別にステンシルして世に送り出す。

 

 

This special Buzz Rickson’s jacket incorporates this innovative design, and features the reversible specifications of the MA-1 and B-15C (MOD) flight jackets. The lining and wool pile of an MA-1 with orange lining is normally sewn with two-needle stitching and finally attached with the outer material to firmly fix the wool pile lining. With this jacket, since both sides can be considered as front side, the wool pile could not be fixed using two-needle stitching. However, by adopting techniques that we have cultivated over the years, we were able to incorporate this highly advanced specification into the jacket design. This jacket, which is infused with Buzz Rickson’s wisdom and technology, was produced as an anniversary model to commemorate the 55th year since the founding of Toyo Enterprise.

 

 

BUZZ RICKSON’S / TOYO ENTERPRISE 55th ANNIVERSARY MODEL

No. BR14700 / JACKET, FLYING, INTERMEDIATE / TYPE MA-1 & TYPE B-15C (MOD.) REVERSIBLE

 

PRICE : ¥89,000 +tax

SIZE : XS, S, M, L, XL, XXL

COLOR : 01) SAGE GREEN × A.F. BLUE

MATERIAL : 2/2 Heavy Nylon Twill (Sage Green Side),  3/1 Heavy Nylon Twill (A.F. Blue Side)

INTER LINING : 58% Wool 42% Cotton Pile Undyed Natural Color

OUT SLASH POCKET : 35% Wool 65% Rayon Double Face Brushed (Sage Green Side), 50% Wool 50% Nylon Double Face Brushed (A.F. Blue Side)

MAIN FRONT FASTENER : Aluminum Reversible Usege

SNAP : U.S. Government Department of Defense Specs. Brass Black Oxidized

LABEL : Buzz Rickson Mfg. Corp. / Toyo Enterprise Co. 55th Anniv.

 

2020年10月10日全国一斉発売 / To be in store from October 10th.

 

 

 

 

このジャケットに付属するオリジナルバッグ。1940年代に陸軍の空挺部隊が使用していたパラシュートキットバッグがベース。当時の実物はコットンキャンバス生地を使用しているが、バズリクソンズではデッキジャケットに使われる厚みのあるジャングルクロスを用いることで強度面をさらに向上させている。左右どちらからでも開閉できるよう考慮されたダブルスライダー仕様で、A-2などにも使われている大戦型ニッケルTALONジッパーを採用。バッグ本体上部のフラップにはブランド名がプリントされている。

 

 

 

 

セージグリーン側の左ポケットに縫い付けられたネーム。バズリクソンズネームと東洋エンタープライズ社55周年を記念したネームのダブルネーム仕様となっている。1950年代に使われていたエアフォースマークのインク成分を分析して製作されたバズリクソンズのアイロン転写式デカール。ブランドロゴが転写されたジャケットはブランド誕生以来、初となる。セージグリーン側のシガレットポケットに装備されるジッパーはMA-1のファーストモデルと同じクラウンのオートロック式ジッパー。ペン差しポケット下部には鋭利なペン先をプロテクトする真鍮製のペンキャップが内蔵されている。

 

 

 

 

セージグリーン側のオキシジェンホースクリップタブは、打ち込みが良く目の詰まったナイロン製の杉綾織り。MA-1ファーストモデル同様の色褪せたようなブラウン色が魅力。ポケットの袋地もMA-1の1stモデルに準じてレーヨンウールの二重織り素材。ダブルフェイス(両面使い)が特徴の布地で、ウール側をポケットに使用している(レーヨン側はL-2Bのライニングに使われている)。1960年代以降、MA-1がリバーシブル仕様となってから採用された10号サイズのリバーシブルジッパー。このジッパーのスライダーには「CC」と刻印されているが、これはコーツ&クラークス社の頭文字を表したもの。

 

 

 

 

エアフォースブルー側にもバズリクソンズのアイロン転写式デカールが付く。インクのカラーは通常のエアフォースマークに使用されているネイビーと同じものであるため、違和感を感じさせない。シガレットポケットのジッパーにはB-15Cと同じクラウンのスプリングピンロック式ジッパーを使用。セージグリーン側同様、こちらにも真鍮製のペンキャップが内蔵されている。エアフォースブルー側のフロントに付いたオキシジェンホースクリップタブ。極厚のテープを折り重ねたオキシジェンタブの縫製は至難の業で、レザージャケットの縫製に匹敵する高度な技術が要求される。

 

 

 

 

エアフォースブルー側のポケットはB-15C同様にナイロンウールの二重織り素材を採用。ウール側はこのようにB-15CやB-15Bのポケット地に使われ、滑りの良いナイロン側はL-2とL-2Aのライニングに使用されていた。フライトジャケットの基本的なディテールとも言える継ぎ目のない輪編みのウールリブ。着用時は非常にスムースでストレスがかからない。このように両面とも各部のディテールはヴィンテージのMA-1ファーストモデルならびにB-15C(MOD.)をベースとしつつ、バズリクソンズオリジナルのアレンジを加えている。