Details of “TYPE MA-1” Vol.003

TEXT:バズリクソンズ企画総括 亀屋康弘(YASUHIRO KAMEYA)

フライトジャケット「MA-1」のディテール解説 Vol.003

 

機能性の高さと優れた着心地を誇るフライトジャケット「MA-1」。それは航空機の発展と共に、改良に改良を積み重ね、進化を遂げてきたジャケットである。ディテールひとつひとつに役割があり、任務を遂行するパイロットにとって最高の一着であったことは想像に難くない。ここでは数あるフライトジャケットの中で、究極のフライトジャケットとして君臨し続ける「MA-1」のディテールを紹介していく。

 

 

ユーティリティポケット

 

写真はMA-1初期型(MIL-J-8279)のユーティリティポケット(シガレットポケット)。ジッパー付きでタバコケースほどの大きさを持つ左袖のポケットには、ペンを4本収納可能。ペン先で生地が破れないよう、ペンキャップのプロテクターが装備されている。

 

(写真左)MA-1初期型(MIL-J-8279)のフロントジッパー (写真右)MA-1中期型(MIL-J-8279D)のフロントジッパー

 

 

ジッパー

 

フライトジャケットを構成する上で最も重要な役割を果たしているのがジッパーの存在である。ジッパーは納入するコントラクターや契約時期によって異なるが、製造方式、務歯(むし)の設計、スライダーのロック機構、デザイン等、どれを取っても他のファスナーメーカーと大きく異なるのが写真のCROWN(クラウン)。引き手を離すとバネの力で戻り、引き手裏の片爪が務歯と務歯の間に入り込んで自動的にロックされるスプリング・カムロック式ジッパーという独自の機構を生み出した。また大きい引き手にタブも付いて、グローブを着用していても容易に開閉できる。独自のロック機構を持つCROWNであったが、製造の困難さやコストの問題などで1960年代末には、より安価に製造できる他社製のジッパーに市場を奪われることとなった。リバーシブルとなったMIL-J-8279Dのジッパーは、引き手が表裏にあるバタフライ型のリバーシブル仕様である。

 

 

メインポケット

 

左右の腰に配されたポケット。MA-1の採用当初は同時期に採用されたライトゾーン用フライトジャケット「L-2B」と外観上の判別ができるよう、MA-1はフラップ無し、L-2Bがフラップ付きであったが、ポケットの中に物を収納しても落ちにくいよう、MIL-J-8279Eからフラップ付きとなった。

 

ポケットの袋地

 

ポケットの内側はレーヨン65%、ウール35%のダブルフェイスの生地を使用。ポケットに手を入れた際に暖が取れるよう、ポケットの内側にはウール側を使用している。ライトゾーン用フライトジャケットL-2Bでは、滑りが良く動きやすいようこの生地のレーヨン側をライニングに使用していた。当時、同じ生地を表裏で使い分けていたのは、生産効率をあげるための手段だったと考えられる。

 

 

MA-1は1950年代中頃の採用以来、1976年にCWU45/Pが登場するまでアメリカ空軍将兵に愛され続け、現在も地上整備員用として活躍している。パイロットの生命を守るため何度も細かな改良を重ね、より完成度の高いものとして発展を続けてきたMA-1。そのスタイルはファッションの世界にも大きな影響を与えており、もはやミリタリーの範疇を大きく超えた存在となっている。

 

 

フライトジャケット「MA-1」のディテール解説 Vol.001

 

フライトジャケット「MA-1」のディテール解説 Vol.002